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SEO戦略の位置づけ

 

SEO戦略の位置づけ

先日のSEOmozの記事の中から二つ目のグラフを紹介します。
原文:http://www.seomoz.org/blog/4-essential-seo-infographics
日本語訳:http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2009/09/10/6473

SEO業界の言葉が多く含まれているので、一応説明します。
ホワイトハットとは、正当なSEOテクニックの事を指し、ブラックハットとは、検索エンジンスパムやそれに近いテクニックの事を指しています。

このマトリックスも前回同様、SEOmozの目線で作られています。これによると、最も高価値(効果的)で、正当なSEOテクニックは、左上の「ページ内最適化」と「キーワード調査」となります。また、反対に、最も低価値で不当なSEOテクニックは、「ブログに対する自動スパム」となります。このブログに対する自動スパムとは、おそらくコメントやトラックバックを手当たり次第に自動で挿入することをさしていると思われます。確かに、これは駄目ですね。

さらに、高価値でブラックハットなものには、「パラサイトホスティング」があげられています。パラサイトホスティングとは、歴史が古くページ数も多い、いわゆる検索エンジン評価が高いウェブサイトの中に特定のキーワードで文章が最適化されたページを作り、そのページが上位表示された段階で、目的のページ(ほとんどの場合が、クライアントページ)へリダイレクトをかけるというものです。
例えば、あなたがウィキペディアを運営していたとします。ウィキペディアは、それ自体とても歴史が古く、かつ質の良いウェブページが大量にあるため検索エンジン評価はとても高くなります。あなたがもしウィキペディア内に「ipod」の関係ページを作れば、少なくとも数週間後には検索エンジンで1ページ目に表示されるでしょう。
「ipod」で上位表示された後、あなたがipodの代理店にそのページを販売したとします。クライアントにウィキペディアのサーバー情報を公開するわけにはいきませんので、あなたは「ipod」で上位表示されているページにリダイレクトを設定してクライアントページにジャンプさせるようにします。そうすることで、クライアントは自社サイトが上位表示されたときと同じだけのアクセスを獲得することができるし、あなたも大きな報酬を受け取ることができます。これが、パラサイト(寄生)ホスティングです。
運営者とクライアント両方に良いように見えるパラサイトホスティングですが、検索エンジンにとってみれば不当に検索結果を操作していると取られるので、現在は検索エンジンスパムと位置づけられているテクニックです。

低価値でホワイトハットなものには「meta keywords」があげられています。メタキーワードは、数年前からSEOとしては効果的ではない、というのが通説で、検索エンジンはメタキーワードを読みはするが順位評価には関係しないというものです。そのため、ホワイトハットではあるが、効果はあまりないということでこの位置なのでしょう。

おそらく、多くの方がこのグラフを見ると、パラサイトホスティングはやってはいけないんだ!と思い、メタキーワードは効果ないんだ!と思うでしょう。また、自動コンテンツ生成を知らず知らずしてしまっているけど、このグラフを見たらブラックハット側なので、どうしよう!と思うはずです。

私は、最近特に思うことがあります。
「 SEOの情報には、実に多くの偏った情報や主観的な情報が氾濫している」と。

例えば、上のグラフで見ると自動コンテンツ生成は低価値・ブラックハットとなっていますが、これはとても偏った見方です。
確かに、上位表示だけを目的として、意味のないウェブページを大量に生成し、そのページからのリンクを獲得する方法は検索エンジンスパムです。ただし、これは「上位表示が目的」と「意味のない大量のウェページ」と「そのページから一方向に付けられたリンク」という3つの要素があって初めて検索エンジンとして認定?されるのです。
もし、すべての自動コンテンツ生成が検索エンジンスパムだとすると、まず真っ先にグーグルはスパムです。毎日それこそ大量のウェブページを検索クエリに応じて自動生成している代名詞は検索エンジンです。また、多くの有名ポータルサイトは、静的(HTML)ではなく、動的にページが生成される動的サイトです。つまり、ユーザーが訪れて何かアクションを起すたびに、いつもページが自動で生成されています。では、これもブラックハット?

また、パラサイトホスティングもブラックハットになっていますがこのような場合にはどうなのでしょう。
あるウェブサイトを長年abc.comというドメインで運営してきた会社が、この度社名変更に伴いdef.comにドメインを変更することになり、サイトも新ドメインに移転しました。
その会社のドメイン(abc.com)は、長年ウェブ担当者がコツコツと更新を重ね、また自身もSEOや新しく正当な手法を積極的に取り入れたため、社名変更した頃にはドメイン(abc.com)の検索エンジン評価はとても高いものになっていました。新しいドメイン(def.com)に移転するにあたって、以前のユーザーが迷子にならないように前のドメイン(abc.com)に新ドメイン(def.com)へのリダイレクトを設定したのですが…。
これはパラサイトホスティングですか?

別の例も考えてみました。
ある会社で複数の異なるサービスを行っていて、それぞれの独立したサイトを運営していたとします。あるときこの会社の方向性が変わり、一番収益性の高いサービスに特化することが決まったため、他のすべてのサービスを中止してウェブサイトも閉鎖しました。ただ、以前からのユーザーのことを考えて、閉鎖したサイトから特化したサービスサイトへのリダイレクトを設定しました。(昨今、「選択と集中」が叫ばれているので、このような事例は普通に起きると思います。)
これもパラサイトホスティング?

ちなみに、上記の2つのケースはパラサイトホスティングにはなりません。

まず、パラサイトホスティングが検索エンジンスパムになる条件を考えてみます。 パラサイトホスティングはウェブ手法の一つなので、それ自体が検索エンジンスパムではありません。ただし、パラサイトホスティングを検索エンジン順位を上げる目的のために使用するとスパムになるのです。
その条件としては次のようなものが考えられます。
1.パラサイトホスティング提供サイトが今も運営を続けている。
2.パラサイトホスティング提供サイトがリダイレクト先のサイトとコンテンツに共通性がない。
3.パラサイトホスティング提供サイトが特定のサイトだけでなく、複数のサイトにもリダイレクトしている。

このような条件が揃ったときに、パラサイトホスティングは検索エンジンスパムとなる危険性が出ます。
ですから、上記の2つの場合は検索エンジンスパムには該当しません。

このように、最近のSEOの情報には、実に多くの偏った情報や主観的な情報が氾濫しています。
その多くが、科学的な統計データの裏づけがない主観的なものが多く、また科学的データに基づいた情報であったとしても、伝えるべき情報量が不足していることなどから、読者に誤った伝わり方をしてしまっています。

SEOは検索エンジンがブラックボックスとしているプログラムを科学的に解明する技術なので、100%のことは絶対にありません。そのため、情報を公開するにはそれ相応の慎重さと公開する情報の細やかさに気を配るべきと改めて感じます。

追記:SEOmoz様、今回の記事で悪い例として使わせてもらってすいません。いつも、記事楽しく読ませていただいています。